人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊 (文春新書) 井上智洋 の感想・レビュー
%はKindleでのページ。
2%
汎用人工知能を開発した国が覇権を握るとあるが、私はそうは思わない。現にワトソンはアメリカから日本にふつうにやってきたが、アメリカが驚異さを増したかと言われると、そうでもない。金額的にも人を雇うより安くたいしたことはない。むしろ、人件費より安くないと人工知能は普及しない。それでいて、何人分もの仕事をしてくれるのが人工知能だ。仮に、高価な汎用人工知能が開発されても、すぐに中国が廉価版を出すだろうし、何も問題ない。もちろん、日本がそれをやる可能性もある。あとは、どうせ、すぐ安くなるし、どの国が汎用人工知能を開発しても結局は人間が得をするし楽ができるということだ。
35%
身体感覚の通有性について、ロボットは人間の心地よさや気持ち良さが理解できなくヨガのインストラクターにはなれないとあるが、誰か人間のヨガインストラクターがヨガをコーチしている動画を提示できたらそれで解決だと思う。できの悪い生徒に対しては、人間のインストラクターが必要だろうが。
47%
工業化による飽和で、新たにできた職業に関して書かれていない。例えば、店頭での家電の営業マンや家電修理屋など。
この直後に、空港の話で、自動ゲートが置かれたら、新たに設置されたシャワールームの受付に移動されるかもという示唆はあるが。
49%
グラフィックソフトの例えがしっくりこない。グラフィックソフトが、手書きデザイナーの代替になってなくないか?手書きデザイナーが使ってる画材の代替にはなってるが。手書きだろうが、ソフト使ってようが良いデザインが生き残るはずだ。両者は、二者択一ではなく、独立し、共存できる。選ばれるデザインは、クライアントや客の趣向次第だろう。などと、思っていたら、すぐあとに、ほどぼとに代替的だと書いてあったので問題なし。手書きがだるくて、パソコンでと移ったデザイナーは幾分いるだろうからだ。
57%
汎用AIがでてきたら、金融政策はもう間に合わないかもという。効率化され供給が増えて、デフレになるところを防ぐために
マネーストックを増やし、インフレにもっていかせた結果、効率化されすぎてしまった社会では結果的にかなりのインフレになって、下手するとハイパーインフレになる可能性があると思う。
稼働時間を抑えて、供給も抑えれば、問題ないか。
71%
限界生産力逓減がよくわからん。機械を増やしたらその分、比例して生産力が向上すると思うのだが。
需要に合わせ、供給が下がっていくというんだったらわかるが、その話はすこし後に経済学では無視されている「需要制約」として話されている。
機械化経済と純粋機械化経済では、違っていて、前者では、逓減が起きるが、後者では起きないと書かれているが、
機械化経済で、限界生産力逓減が起きるメカニズムがやはりよくわからない。
人間による労働がボトルネックと説明されてるが、人間と機械で半々ぐらいの稼働割合で労働量も量的に固定してたなら、限界生産性逓減は起きるだろう。
77%
エネルギーは、有限ではなくなるのではと思う。例えば、太陽・水力・風力などの自然エネルギーをロボット・AIばかりで運営させたら、設備投資額はかかるだろうが、かなり低コストになるのでは。バイオ燃料もロボット・AIで自動精製される。シンギュラリティ以降であれば、汎用AIロボットを搭載したロケットが、レアメタルやレア資源を求め、宇宙に行きそれらを採取して、エネルギー精製に役立てるだろう。宇宙空間を使って、もっと効率的に太陽光発電ができるようになっているだろう。
あと、ナノテクノロジーの発展が遅れ、AIで雇用が奪われ、物価が高止まりだという。これは57%のとこに書かれていた話だが、人間よりも低コストで生産できるからAIを使っているのであるから、物価は安くなるはずだ。
82%
筆者は無理だというが、汎用AIが普及し、純粋機械化経済なら、ソ連型社会主義でもイケると私は思う。価格決定において分権的システムが必要だと筆者はいうが、それも汎用AIでなんとかなるだろう。中央集権当局で全知全能の超AIを設置するのではなく、汎用AIを地方の至る場所に普及させ、情報収集や価格決定などをさせる。このほうが社会主義としての継続可能性は高いだろう。1割の人間の労働者が存在はすると思われ、彼らが汎用AIが気づけない点を補完できるのではないか。これに関しては、これに似たようなクーポン型市場社会主義としてのこのすぐ後に書かれていた。現状の社会とあまりに違うため大量の血が流れるので、ダメそうだ。他にも本書にいろいろダメな理由が書いてある。
AIとBIを組みあせた社会についてよく書かれた書籍で、アメリカの経済学者1200人が政府に懇願した制度であるベーシックインカムの財源や優位性に関しても書かれているので、オススメする。