芥川賞受賞作「コンビニ人間」村田沙耶香 感想
下記の%はKindleページ数。
66%
僕を世界から隠して欲しいというバイト仲間の白羽。おもしろいなあ。勝手にひとりで反世俗的になればいいと思うんだけど。
75%
白羽「普通の人間というのは、普通じゃない人間の裁判をするのが趣味」というのは、なるほどなあと思った。正規分布通り、普通あたりの人口はやはり多く、上にぶっとんでるか下にぶっとんでる人には生きにくい社会になる。
ヒモ白羽をペットのように餌を与え飼っている主人公古倉も一般的価値観で見れば、クレイジーだがそこがこの小説の良さだ。
98%
私の細胞全部がコンビニのために存在しているという主人公の古倉。人間としてのOSよりもコンビニがベースだという異常っぷりにタイトル通りのまさにこれぞコンビニ人間だという気がした。古倉のなかにあるコンビニ人間遺伝子のようなものを感じた。それでも、ヒモ男に手をつかまれていて払っても、胸元でその手を抱きしめるような人間の女性らしさがあるのが面白い。
全体を通して
主人公の古倉は、マニュアルのあるコンビニの仕事以外では、外界と意思疎通を遮断してもいいのではないか。あまりに価値観や考え方がぶっ飛んでいて、周りから引かれすぎている。妹も放置でいいし、このままコンビニ店員を続行していって何も問題ないだろう。それに加え、もっとまともなヒモを調達するのも面白いかもしれない。今回のヒモ白羽は、だらしなすぎる。新人バイトのベトナム人のトゥアンくんを日本語の調教ついでに、次に飼うとかどうだろう。
度々でてくる表現として、コンビニを綺麗な水槽と形容しているのが実に素晴らしくジャストマッチだった。
村田沙耶香さんの作品はかなりクレイジーなようで、というか彼女自身がクレイジーらしくニックネームがクレイジーさやからしいのだが、彼女の過去の作品もぼちぼち読んでいってみようと思える作品だった。